しだれ桜の並木まち 角館
画:杉田千里
- 交 通 JR、秋田新幹線角館駅下車 20分
車、秋田自動車道協和インターより30分
所在地 秋田県仙北市角館町東勝楽丁ほか
しだれ桜が美しいまちなみ 旧青柳家の配置図、2つの玄関(客を迎える玄関と家人の使う玄関)
土縁が廻され庭と繋がる青柳家 青柳家には屋敷内に4つの土蔵がある
青柳家の薬医門、門の前の2つの石は乗馬を助ける馬乗石
武者覗き
青柳家の薬医門、門の前の2つの石は乗馬を助ける馬乗石 石黒家の玄関 唐破風と懸魚
まちの生い立ちと町なみの特徴
- 角館の桜は、5月のゴールデンウィークの頃が見ごろです。
この町は、樅の木やしだれ桜の大樹に包まれた、まるで森の中の集落です。
町の起こりは 佐竹氏の弟の芦名氏が枝城として角館城を築きましたが芦名氏滅亡後の城主、佐竹義明の妻(京の三条西実号(さねな)の娘)は、嫁ぐ時、しだれ桜の苗木を持参しこの地に植えました、京の町なみをしのぶ女心が秘められていることでしょう。
そして300年あまりの歳月を経て、今日の角館は、天然記念物のしだれ桜の並木の町として多くの人々に愛されるようになりました。
武家屋敷として、藩政時代の建築様式を今に伝えている家屋に、石黒家、旧青柳家、岩橋家、河原田家、小野田家等があります。これらの武家屋敷は、格式に応じて接客を主体に厳格に造られています。
- 5月上旬の桜の開花期、初夏の新緑、秋の楓の葉、樹齢200年を越える大木の圧倒的に景観は、とても住宅街とは思えない比類の美しさです。この自然林の樹帯は、防風林として、防雪林として、さらにモミの屋敷樹は火除け用として役割がありました。
町の構造、は武家屋敷(表町)と町人町(東勝楽町)に二分され、東西に1.5km程に中央に武家町は幅11m、町人町は幅6mのみちがあります。そしてこの武家町と町人町の境には幅21mの「火除く」と呼ばれる防火用の空地が設けられ高さ3mの土塁を築き防火区画としていました。
- 門は家の格式により、薬医門、腕木門、塀重門が建てられ、その門に続く板塀には、格子付きののぞき窓がついていました。この窓を武者のぞきと称し、内側には、すだれを取り付けたものもありました。
この町を意匠にまとめているには、前述の自然樹林と広いみちの他に、低めにおさえた黒い板塀があります。板塀の形式は、簓子下見塀(ささらこしたみべい)か縦板
- 塀です。黒い板塀は、歴史的町なみ、日本建築と調和し、さらにモダンな色彩でもあります。高さ1.5m位の直線的な板塀は、自然樹林帯の中に一本の人工的、幾何学的なランイを加えこの素材感、控え目な寸法、そして色彩は自然の一部として人がくらしを営むつつましやかな姿勢を表しているようでもあります。そして、黒い板塀に、ピンクの桜が垂れ下がった時、赤い蛇の目の和傘が開いた時、黄や白、色とりどりのレンタルサイクルに乗った、外国人観光客が通りすぎた時、笠木に白い雪がこんもりと積もった時、町はアートとなり、伝統的町なみが、現代的デザインともなり、本物の良さ、伝統の良さを教えてくれれます。
参考文献:角館伝統的建造物群保存地区調査報告書 角館町教育委員会
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